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無知ノ知

京都の大学生カトナヲが自分本位な百裂拳を繰り出していきます。ご期待あれ。

聖火台なし新国立競技場の設計者の取り組みが思いの外面白かった件

本の紹介。今回はオススメ度が高い1冊!

隈研吾『小さな建築』岩波新書

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著者の隈研吾さんは、今話題にもなっている新国立競技場の設計者です。現在、東京大学工学部建築学科の教授で、20世紀までの「大きな建築」を疑い、21世紀型の「小さな建築」を実践している建築者です。

本書は「積む」「もたれかかる」「織る」「ふくらます」という全部で4つの章に分かれていて、隈さんのそれぞれ異なるアプローチが紹介されています。中でも印象的だったのは、「積む」の章に書かれていた内容です。

20世紀のアメリカで「郊外」という概念が誕生し、労働者は「マイホーム=幸せ」を求めて働き、ローンを組み自分の城を手に入れようとした。そうして手に入れた居城は、インフラに大きく依存しており、ひとたび災害が起こると自立性を失った建築の脆弱性があらわになる。最近だと東日本大震災が記憶に新しい。

そのような現状に対して、隈さんはウォーターブランチ(水の小枝)という新しい小さな単位をつみあげて建築を行う実験をしました。この単位を用いることで、人々は家を受動的に消費するのではなく、能動的に家を建築できるというのです。

ウォーターブランチによる建築は、レンガ建築とは異なり、固定しないで解体できる点や、ランチ内の水を抜けば容易に持ち運びができる点、そして水をブランチ内を循環するようにして水が太陽光から得たエネルギーを利用しようとしている点も画期的です。

隈氏の作品はどれも新鮮で奥行きを感じます。大宰府にあるスターバックスのデザインも隈氏の作品で、ここには高校の修学旅行の時に行ったことがありますが、店内に引き込まれるような、そして店と路上がつながっているような印象をうけたのを覚えています。

最近は新国立競技場関連で名前を耳にする隈さんですが、ニュースなどでは取り上げられない、ちょっと深いところに足を踏み入れてみるのも面白いと思います。

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さて、僕は高校3年の受験の時に東京大学を受験したのですが、実はその試験の時に試験官だった人こそが、この本の著者、隈研吾さんでした。試験官を務めていただいたのは偶々の出来事でしたが、各分野の著名な研究者や技術者との距離が近いことは、総合大学、特に日本一の大学と形容されることの多い東京大学の魅力の1つだと思います。

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その時の試験には落第し、結局1年間進学待機して京都大学に入学しました。京都大学にも最先端の研究をされている研究者の方が大勢いらっしゃって、適当に手にとった新書の著者が自分の大学で教鞭を執っているということが珍しくないです(笑)。いやはやすごいところに来てしまったなと感じている入試合格1年後の今日です。